朝の定例でカメラをオンにしたら声が飛ぶ。資料を共有した瞬間に画面が固まる。在宅ワークの回線選びは、たいていこの場面をなくしたくて始まります。
先に答えを書きます。Web会議そのものに必要な速度は、Microsoft と Google の公式値で上り下りとも数Mbpsです。光回線ならどれを選んでも数字の上では足ります。在宅ワークで差がつくのは速度ではなく、会社のVPNが新しい接続方式で通るかどうかです。
編集部の結論は、会社のVPNを使う人はドコモ光、VPNを使わず月額を抑えたい人はエリア内ならNURO 光です。この記事の数値は、各社の公式サイトと国税庁の資料の表示(2026年10月2日確認・税込)だけで書いています。編集部は通信速度を測っていません。
結論:VPNを使うならドコモ光、使わないならNURO 光
ドコモ光を推す理由は、逃げ道があることです。ドコモnetは、新方式(IPoE)の接続と従来方式(PPPoE)の接続の両方を用意していると公式ページに書いています。新方式で会社のVPNがつながらなかったとき、従来方式の接続を使う道が残ります。
NURO 光は月額がいちばん安く、戸建てで開通月から24か月間4,530円です。ただし、接続方式がMAP-E方式になった場合に使えなくなるサービスを公式に挙げており、そのサポートと個別対応はしないと明記しています。
auひかりは上り下り最大1ギガと公式に書いていますが、3社の中で月額が最も高くなります。在宅ワークを理由に選ぶ決め手は、公式の情報からは見つかりませんでした。
Web会議に必要な速度は公式値で数Mbps
まず、会議アプリがどれだけの速度を求めているかを見ます。Microsoft Teams は、会議でのビデオについて推奨を上り2,500kbps・下り4,000kbps、最高の品質でも上り下り4,000kbpsとしています。4,000kbpsは4Mbpsです。
Google Meet は、参加者1人あたりの帯域幅を1080pの動画で送信・受信とも最大3.6Mbps、720pで最大1.7Mbpsとしています。音声だけなら、Teams の推奨は58kbps、Meet は100Kbpsです。
| アプリと条件 | 上り(送信) | 下り(受信) |
|---|---|---|
| Teams 会議のビデオ(推奨) | 2,500kbps | 4,000kbps |
| Teams 会議のビデオ(最高) | 4,000kbps | 4,000kbps |
| Teams 会議の画面共有(推奨) | 2,500kbps | 2,500kbps |
| Meet 1080pの動画 | 最大3.6Mbps | 最大3.6Mbps |
| Meet 720pの動画 | 最大1.7Mbps | 最大1.7Mbps |
| Meet グループ ミーティング | 250Kbps以上 | 最大4.0Mbps |
Teams は Microsoft Learn「組織のネットワークを Teams 用に準備する」、Meet は Google Workspace 管理者ヘルプの表示です。Zoom は公式ページの数値を本文として取得できなかったため、載せていません。
1ギガの光回線の最大速度は1,000Mbpsなので、4Mbpsはその250分の1です。夫婦2人が同時に会議をしても8Mbpsで、編集部の単純計算では桁が2つ違います。集合住宅で、最大が概ね100Mbpsの配線方式(VDSL方式など)に当たっても、4Mbpsの25倍あります。
つまり、在宅ワークのために10ギガを選ぶ理由は、会議アプリの公式値からは出てきません。10ギガが要る場面は光回線10ギガと1ギガの違いにまとめています。
最大速度より先に読む、3つの公式の注記
数字の上で足りているのに会議が乱れることがあるのは、最大速度がそのまま出るわけではないからです。各社は、その理由を自分で書いています。
1つ目は、回線が混む時間です。ドコモは、ドコモ光はベストエフォート型のサービスで、実際の速度は利用環境・利用機器・回線の混雑状況などによって低下すると書いています。最大速度は技術規格上の最大値です。
2つ目は、接続方式です。ドコモは、IPv6に対応したサービスの通信を従来のIPv4とは別のIPv6のネットワークに流すことで、快適に利用できる場合があると説明しています。ドコモnetでは追加料金なしで使えます。IPoEとPPPoEの違いと切り替え手順はIPv6(IPoE) vs PPPoE 違いの解説にまとめています。
3つ目は、家の中です。NURO 光は、2.5Gbpsという速度は宅内終端装置までの技術規格上の下りの最大速度で、個々の端末までの速度を示すものではないと注記しています。仕事部屋とルーターが離れているなら、回線を替える前にLANケーブルでつなぐのが先です。
会社のVPNを使う人は「IPv4 over IPv6」の制限を先に確かめる
在宅ワークに固有の落とし穴は、ここにあります。新方式の接続では、1つのIPv4アドレスを複数の契約者で分け合います。そのため、使えるポート番号と数に限りがあります。
ドコモnetの公式ページは、IPv4 over IPv6機能では一部のサービスを利用できない場合があるとして、その例にオンラインゲーム、VPN接続、遠隔からのWEBカメラへのアクセスを挙げています。VPN接続が名指しされている点は、在宅ワーカーなら読み飛ばせません。
NURO 光も同じ種類の注記を出しています。IPv4アドレスの枯渇への対応として、従来のデュアルスタック方式からMAP-E方式に徐々に移しており、新規の申し込みやONUの交換のときにMAP-E方式が適用される場合があるという内容です。
MAP-E方式で使えなくなるものとして、NURO 光が挙げているのは3つです。PPTPやSCTPなど特定のプロトコルを使うサービス、特定のポートを使うサービス、IPv4グローバルアドレスを共有するネットワークでは利用できないサービスです。
公式の書き方は「利用できない場合がある」で、すべてのVPNが使えないという意味ではありません。ただ、自分の会社のVPNがどの方式かは、回線会社のページを読んでも分かりません。申し込む前に、会社の情報システム担当に「VPNの方式は何か」「IPv4 over IPv6の回線からつないでいる社員はいるか」を聞くのが確実です。
ドコモ光 1ギガ:VPNがつながらないときに切り替え先がある
月額は、タイプA・Cの2年定期契約で戸建て5,720円、マンション4,400円です。初期費用は契約事務手数料4,950円と工事料で、工事料の代表例は28,600円です。
ドコモnetは、新方式(IPoE方式)によるIPv6の接続と、従来方式(PPPoE方式)によるIPv4の接続の2つのネットワークを用意していると書いています。新方式で会社のVPNが通らなかった場合に、ルーターの設定で従来方式を使う道が残ります。設定の手順は、ドコモnetの案内で確認してください。
弱点は、月額が3社の真ん中で、安さでは選べないことです。ドコモのスマホを使っていれば、スマホ1回線ごとに永年最大1,210円の割引が付きます。割引額はスマホのプランで変わります。
向いているのは、会社のVPNに毎日つなぐ人と、家族にドコモのスマホが多い家です。プロバイダによって推奨する接続方式が違うので、ドコモnet以外を選ぶ場合はそのプロバイダの案内を読んでください。
NURO 光:月額は最安、ただしMAP-E方式の注記を読んでから
戸建て向けの(H)プランは、2年割を適用した月額負担が開通月から24か月間4,530円、25か月目から5,720円です(Wi-Fiルーター代550円を含む)。40戸以上の集合住宅向けの(M)プランは3,530円、25か月目から4,730円です。
速度の公式表記は、下り最大2.5Gbps・上り最大1Gbpsです(マンション向け料金ページのスペック欄)。初期費用は契約事務手数料6,050円と基本工事費55,000円で、工事費は36回払いに同額の割引が付きます。
弱点は2つあります。提供エリアが限られること。そして、MAP-E方式で使えなくなるサービスについて、サポートも個別の対応もしないと公式に書いていることです。
向いているのは、仕事がブラウザとクラウドのサービスで完結していて、会社のVPNを使わない人です。フリーランスで自分の裁量で道具を選べるなら、月額の安さがそのまま効きます。
auひかり:上り下り最大1ギガ。月額は3社で最も高い
auひかり plus ホーム 1ギガは、公式ページに上り下り最大1ギガと書かれています。月額は光回線の開通から12か月目まで6,578円から、13か月目は7,018円から、37か月目は7,238円からです。
この金額は、2年契約(プロバイダはBIGLOBE)とWi-Fiパックを同時に申し込み、別にauでんきを申し込んだ場合の例として公式が示しているものです。初期費用はサービス登録料4,950円と工事費39,600円で、工事費は月1,650円の24回払いに同額の割引が付きます。
集合住宅向けのマンション タイプVは、16契約以上の建物でネットだけを使う場合に4,180円です(au one netで口座振替・クレジットカード割引を適用した金額)。建物の契約数で料金が変わります。
弱点は月額です。IPv4 over IPv6の制限にあたる注記は、今回確認した料金ページにはありませんでした。使えるとも使えないとも書けないので、VPNを使う人は申し込み前にKDDIへ確認してください。
3社を比較
| 項目 | ドコモ光 1ギガ | NURO 光 | auひかり |
|---|---|---|---|
| 戸建ての月額 | 5,720円(タイプA・C/2年定期契約) | 4,530円(25か月目から5,720円) | 6,578円(13か月目から7,018円、37か月目から7,238円) |
| 集合住宅の月額 | 4,400円(タイプA・C/2年定期契約) | 3,530円(40戸以上。25か月目から4,730円) | 4,180円(タイプV・16契約以上) |
| 速度の公式表記 | ベストエフォート型 | 下り最大2.5Gbps/上り最大1Gbps | 上り下り最大1ギガ(plus ホーム) |
| VPNに関わる公式の注記 | IPv4 over IPv6機能では、VPN接続などを利用できない場合がある | MAP-E方式ではPPTPなどが利用できない。サポート・個別対応なし | 今回確認した料金ページに記載なし |
| 従来方式(PPPoE) | ドコモnetが用意 | 公式ページに記載なし | 今回確認したページに記載なし |
| 初期費用 | 事務手数料4,950円+工事料 代表例28,600円 | 事務手数料6,050円+工事費55,000円(36回払い・同額割引) | 登録料4,950円+工事費39,600円(24回払い・同額割引) |
各社公式サイトの表示(2026年10月2日確認・税込)。NURO 光の月額は2年割を適用し、Wi-Fiルーター代550円を含む金額です。auひかりの戸建ての月額は、本文に書いた条件での公式の例です。太字は、その行で編集部が有利と判断した項目です。
月額だけならNURO 光です。戸建ての開通月から24か月間は、ドコモ光より月1,190円安くなります。auひかりの最初の12か月(6,578円)と比べると、月2,048円の差です。
ただ、会社のVPNにつながらなければ仕事になりません。VPNを使う人は、月1,190円の差より、従来方式の接続が公式に用意されているドコモ光を選ぶのが堅実です。
通信費のうち仕事の分は、国税庁の算式で出せる
回線の月額は、全額が自分の負担とは限りません。国税庁は「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」で、会社が通信費の仕事の分を支給するときの算式を示しています。この算式で出した金額を会社が支給する場合、従業員の給与として課税しなくて差し支えないとされています。
算式は、1か月の基本使用料や通信料に「在宅勤務の日数÷その月の日数」を掛け、さらに2分の1を掛けるものです。2分の1は、睡眠時間を除いた16時間のうち、法定労働時間の8時間が占める割合です。
月額5,720円の回線で、31日ある月に20日在宅勤務をした場合を編集部が計算すると、5,720円×20÷31×1/2で1,846円です(1円未満切り上げ)。月額4,400円なら1,420円になります。
支給するかどうか、どう精算するかは会社の規程で決まります。回線を契約する前に総務か経理に聞いておくと、月額の比べ方が変わります。
申し込む前に確かめる3つのこと
1つ目は、会社のVPNの方式です。上に書いた2つの質問を、情報システム担当に送ってください。返事が来るまで申し込まないのが安全です。
2つ目は、住まいの条件です。NURO 光は提供エリアが限られます。集合住宅は配線方式で最大速度が変わるので、マンションの配線方式の見分け方を先に読んでください。
3つ目は、工事までのつなぎです。工事ができない、または待てない場合はホームルーターが候補になりますが、上りの速度が光回線より小さくなります。違いはホームルーターと光回線の比較に書きました。
まとめ:速度ではなく、VPNが通るかで決める
Web会議に必要な速度は公式値で数Mbpsで、光回線ならどれでも足ります。在宅ワークの回線は、速度の数字ではなく会社のVPNとの相性で決めてください。
VPNを使うならドコモ光、使わずに月額を抑えるならエリア内でNURO 光。これが編集部の答えです。
料金の全体像は光回線3社の公式料金比較にまとめています。
出典(すべて2026年10月2日確認):組織のネットワークを Teams 用に準備する/Microsoft Learn / Google Meet 用にネットワークを準備する/Google Workspace 管理者ヘルプ / ドコモ光 料金プラン/NTTドコモ / ドコモ光 1ギガ/NTTドコモ / ドコモnetのIPv6高速インターネット接続/NTTドコモ / IPv6インターネット接続機能/NTTドコモ / NURO 光(戸建て)料金・スペック/ソニーネットワークコミュニケーションズ / NURO 光(マンション)料金・スペック/ソニーネットワークコミュニケーションズ / IPv6アドレス対応およびMAP-E方式について/NURO 光 / auひかり plus ホーム/au / auひかり マンション タイプV/au / 在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)/国税庁


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